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川内原発パブコメ(3) 深層防護の第5層(避難計画、原子力防止計画など)の審査を行うべき  [核のガバナンス・パブコメ]

「Ⅰ はじめに」について

意見の要旨
 原子力規制委員会は、原子力発電所の安全確保、防護策には、国際事実標準であるIAEA・国際原子力機関( International Atomic Energy Agency)の提唱する五層の深層防護(ディフェンス・イン・デプス Defense in Depth)を取り入れているとしている。今回のパブリックコメント(以下パブコメ)で意見募集している九州電力川内原子力発電所1号炉及び2号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案(以下審査書)は、深層防護の何層までをカバーしているのか。深層防護の枠組みとこの審査書との関連が「Ⅰ はじめに」に明記されていない。

審査書には、第5層目の放射性物質の大量放出にともなう放射線影響の緩和/原発施設外での緊急時対応に当たる防護策部分が全くない。審査書は第4層までの未完の深層防護である。川内原発の未完成な途中までの深層防護である。まず、深層防護の枠組みとの関係と第4層までを対象にしたものなのか、そうした深層防護の審査としては、この審査書は不完全なものであることを明記すべきである。そしてこの審査書とは別に、川内原子力発電所の深層防護の第5層の審査を行い川内原発の深層防護の完全な審査を行う旨、明記されたい。

意見

法の支配の下にある日本において、原子力規制委員会設置法や原子炉等規制法などあらゆる法律は、国の最高法規である日本国憲法の下位に置かれる。日本国憲法が規定する人格権及び生存権に照らして原子力発電所稼働に必要となる要件を考慮するならば、過酷事故の際の住民の防護は当然考慮されるべき必須の基準の一つある。このことは、2014年5月21日、関西電力大飯発電所をめぐる訴訟において法廷が下した判断においても確認されている。

日本の原子力行政を顧みると、原子力船むつ事故を契機に1978年に原子力委員会から規制機能を、リスク評価は原子力安全委員会でリスク管理は経産省(原子力保安院)とに分離した。この安全委―保安院の仕組みで東電核災害が招き入れられた。その反省で、この2者を統合し規制機能を一元的に担う第3条員会の規制委ー規制庁の仕組みがつくられた。

より具体的にみると、憲法が規定する人格権及び生存権は、原子力規制委員会設置法では第3条で「原子力規制委員会は、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資するため、原子力利用における安全の確保を図ることを任務とする。」としている。第4条で「原子力規制委員会は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。」とし、最初に「一  原子力利用における安全の確保に関すること。」としている。

1979年の米国TMI事故、1986年のソ連チェルノブイリ事故を契機に、世界各国で原子力の防護策の再構築が行われた。1996 年にIAEAの国際標準、INSAG-10で示される5層構造の深層防護の考え方、フレームに纏まる。日本では原子力安全委員会が2006年に防災計画を深層防護の考え方に沿って見直す作業を開始した。当時の広瀬研吉・保安院長が「寝た子を起こすな」と言ってその作業を中止させ、3層の深層防護にもどした。仮に、深層防護の考え方に沿って原子力防災計画やシビアアクシデント対策の見直しが行われていたら、東電核災害はより軽微なものなっていたであろう。こうした反省から、規制委員会は深層防護、国際標準のIAEA流の5層の深層防護を取り入れ、基本にするとしている。これは、第4層目のプラントの過酷状態の制御(事故進展防止と、過酷事故の影響緩和を含む)を目的とする原発施設内での補完的手段とアクシデントマネジメントなどの防護策の整備と第5層目の放射性物質の大量放出にともなう放射線影響の緩和を目的とする原発施設外での緊急時対応などの整備を行うことである。法的には原子炉等規制法第43条の3の6第1項第2号、3号及び4号で求められる技術的能力に係る要件に、「過酷事故の際の住民の防護」が含まれるとされている。

川内原発では5km.以内に3665人、5~10km.には22046人、20~30km.に107777人(30㎞以内で小計23万2118人)、30~50km.に833717人で50km.以内に106万5835人の人々が居住している。(原子力規制委員会の資料(A))この106万人の放射線影響を緩和するサイト外の緊急時対応策、第5層目の深層防護策が必要なのである。

原子力規制委員会は、科学的に検討して原子力災害対策指針(以下災害指針)を定めている。こうした指針に示されている原子力規制委員会の考えやガイドラインに照らして、川内原子力発電所を対象とするサイト外の原子力災害対策が適合しているのか、放射線影響を緩和する第5層目の深層防護として有効なのかといった審査が必要である。原子力規制委員会には原子力災害対策指針を定めたのだから審査する能力もあるはずである。「原子力利用における安全の確保に関する」事務をつかさどる法的位置に原子力規制委員会はあるのだから法的な責務でもある。
それには、発災から1週間、7日間の被曝の予測をもとに行われる短期的な対策とその後のグランドシャイン、地表などに沈着した放射能による放射線などによる被曝をもとに行われる中長期的対策がある。災害指針では、中長期的対策として避難からの帰還や長期的避難や移住、除染等が挙げられている。

東電核災害を顧みれば、予想される除染規模や除染技術、除染体制、汚染土壌など除染廃棄物の処分地を準備、計画しておくことが重要である。こうした中長期的対策では、除染費用、汚染された家財の補償、生業の復旧費用、移住費などなどの費用を負担する事業者、九州電力の経理的基礎も審査する必要がある。原子炉等規制法第43条の3の6第1項第2号及び第3号では「必要な技術的能力(第2号にあっては経理的基礎を含む)」とあり、工学的な技術的能力だけでなく、それを実施、または経費を賄える事業者、九州電力の経理的基礎も審査するように法は求めている。

報道(B)によれば、30キロ圏にある病院の患者や、社会福祉施設に入居するお年寄りなどの避難計画について、伊藤祐一郎鹿児島県知事は「10キロまでの計画はつくるが、30キロまでの避難計画は現実的でなく、作っても機能しない」として事実上放棄している。原子力災害対策指針では病院や福祉施設にいる人々だけでなく、高齢者、障害者、外国人、乳幼児その他の災害時に援護を必要とする者を「災害時要援護者」として配慮を求めている。病院や福祉施設にいる人々を対象にする避難計画を事実上放棄している鹿児島県が、より幅の広い「災害時要援護者」を対象にした原子力防災計画を立案しているか甚だ疑問である。この避難計画は発災から1週間、7日間の被曝の予測をもとに行われる短期的な避難である。

 その後に中長期的に、地表などに沈着した放射能によるグラウンドシャインなどによる被曝量から、病院や社会福祉施設が使えない、使用が望ましくない状況になれば、病院などの補償費や新たな社会福祉施設の建設増築などの費用の負担方法や、それら施設が出来るまでの避難・退避場所の手当てや費用などなど、予め検討し、準備、計画しておくことが放射線影響の緩和には重要である。九州電力(株)にその費用を賄う財務基盤、負担能力があるのか、甚だしく疑問である。原子力賠償制度で補填される金額は上限2400億円である。この原子力防災計画の中長期的な部分も原子力災害対策指針と照らして審査・点検も、「国民の生命、健康及び財産の保護」を任務とする原子力規制委員会の法定の責務である。

 原子力規制員会は、川内原子力発電所の深層防護の第5層をなす鹿児島県の原子力防災計画を審査する法的責務がある。審査書では、第5層の放射性物質の放出を想定し、サイト外の緊急時対応により放射線影響を緩和する防護層が審査されていない。法の定めるように国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全のために発電という原子力利用における安全の確保に関する事務を遂行して、第5層の防護も審査すべきである。この審査書とは別に、川内原子力発電所の深層防護の第5層の審査を行うのなら、その旨、明記されたい。

(A)は原子力発電所周辺地域の人口データhttps://www.nsr.go.jp/activity/bousai/data/bousai_jinkou.pdf

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(B)は、焦点:川内原発地元の避難計画に批判噴出、弱者対策なく不安募る
http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKBN0F503L.html

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